クアオルトとは

クアオルトとは

ドイツにおけるクアオルトについての基本的な情報をご紹介いたします。

クアオルトは、国が認定し4つの自然の療養要素で
公的医療保険が適用される特別な地域。

kur + ort = Kurort

 クアオルト(Kurort)とはドイツ語で、クア(Kur)「治療・療養、保養のための滞在」とオルト(Ort)「場所・地域」という言葉が合わさった言葉で、「療養地」という意味になります。
このクアオルトは、国が認定した特別な地域(基本的には自治体)で、次の4つの療養要素で医療保険が適用される地域です。
入院・通院様々ですが、最長3週間滞在して治療をします。

 現在は、治療客だけではなく、自費で健康づくりに活用する人が8割以上を占めており、その意味では、療養地というより健康保養地の性格が強くなっています。

4つの療養要素とは、土に由来する温泉や泥・蒸気、気候、海、クナイプ式

 4つの療養要素とは、治癒、緩和、予防に効果のある自然の治療薬をいいます。

 その療養要素は、

4つの療養要素

※ クナイプ式は、セバスチャン・クナイプ牧師が、罹患した結核を自分で治癒した手法を体系化したもので、水療法・運動療法・食餌療法・植物療法・秩序療法の5本の柱からなり、自然治癒と自然環境を用いる治療手法です。

クアオルトの数は374箇所(2007年)

 クアオルトの数は、温泉が157箇所、泥・蒸気の場所が56箇所、海が91箇所、気候が68箇所、クナイプ式が68箇所となり、複数の療養要素で認定を受けている場所もあるため、436称号374箇所(2007年)になります。源泉数だけなら、ドイツ国内に2000箇所以上ありますが、源泉だけではクアオルトに認定されることはありません。

クアオルトの宿泊数は、132,614,872泊、
滞在客数は29,158,433人、平均4.55泊(2019年)

 クアオルト連盟における2019年の統計では、クアオルトの年間宿泊数は、132,614,872泊で、内訳は、温泉等で45,870,934泊、海で57,188,382泊、気候で18,717,330泊、クナイプ式で10,838,226泊となっています。滞在客数は年間29,158,433人で、平均すると4.55泊となっています(ドイツ治療湯治場連合調べ)。

クアオルトの品質を担保する基準「クアオルトの概念規定」

 4つの療養要素で医療保険が適用になる地域ですので、自然環境の品質や環境保全はもちろん、自然療法の専門医、治療のプログラム、必要な施設など、基準になる規定があります。

 それが、「クアオルトの概念規定」と呼ばれる基準で、1937年に決定しました。現在は、何度も改正されて第12版になっています。この概念規定を基にして、連邦の州等が各々クアオルト法を制定し、その法律に基づき、特別な委員会が設置され、クアオルトを認定しています、州等が認定したものは国が認定した事にみなされるため、一般的にクアオルトは国が認定したと言われています。

 全土で同じ「クアオルトの概念規定」を基本にしているために、高い品質が保証されています。

クアオルトに必要な施設は、治療する施設、クアパーク(保養公園)、クアハウス(保養交流施設)、温泉のクアオルトならテルメ(温泉施設)など

クアオルト

 クアオルトには必要な施設は、4つの療養要素を使って治療する施設、市内の中心部に30~40haのクアパーク(保養公園)、滞在中に様々な人が交流するためのクアハウス(保養交流施設)があります。クアハウスは、コンサートホールやレストラン、図書館などを備え、人々の楽しみを文化的な面から支え、交流を促進するものです。

 また、温泉のクアオルトなら、テルメ(温泉施設)や、温泉が飲める場合は、トリンクハレ(飲泉所)なども必要です。テルメは、ほとんど体温以下の水温で、水着を着用し、男女一緒に利用しています。

クアオルトの環境や景観は、森の中に包まれるような心地よさ

クアオルト

 長期滞在するクアオルトは、穏やかな環境の中でゆったり過ごすことが出来ます。それは、自然の療養要素を守るために、環境が大切に保全されていること、滞在中に心地よさを感じさせるために、樹木や草花が豊富なことなどの景観に配慮されていることが特長です。
まるで、施設も含めて森の中に包まれるような環境になっています。